都内で住まいを探すときの一つの選択肢として、交通の利便性が挙げられます。車通勤では道路網であり、電車通勤ともなれば交通インフラの代表と言える鉄道網と言っていいでしょう。ではその鉄道インフラの評価基準としてどのようなファクターが考えられるでしょうか。そのような視点で参考となるような情報をご紹介していきたいと思います。まず考えられるのが駅数の多い路線。駅数が多ければ、住まいから「駅まで徒歩5分」というような、利便性を強調する広告でよくうたわれている駅に近い物件をたくさん見つけることができるでしょう。
さらに乗り換えの選択肢がたくさん選べる駅をもつ路線であれば実質的な通勤時間を極力少なくすることも可能になるでしょう。あるいはいずれ都内のマンションを買って、と考えている人にとっては、将来性のある駅周辺という選択もあるかもしれません。週末を有効に使いたいという人には、食事やショッピングができる施設が多くある集まる駅も魅力的でしょう。あるいは電車事故でよく時間を奪われてしまうと感じている人にとっては、安全なホームドアの設置を積極的に進めている鉄道会社の駅がお勧めかもしれません。このように選択する条件は、その人のライフスタイルによっても、またその人の価値観によっても違ってくるでしょう。まさに人それぞれと言えるのではないでしょうか。
そうであれば、その多くの選択肢がかなえられる路線や駅を重点として住まいを探していけば、一番フィットした物件にたどり着くのも早いと言ってもいいのではないでしょうか。住まい選びの最初に世界に誇る日本の公共インフラの鉄道路線選びからという視点で進めていくのが最も有効と言ってもいいのではないでしょうか。
期待高まる京王電鉄
利便性を重視した住まいを探している人にとって、どの鉄道会社のどの路線をターゲットにして選ぶかということが、悩むところではないでしょうか。なぜなら、選択を誤るとのちのち資産性という点でも大きく影響されるからに他なりません。そんな都心派の人にとって、各鉄道会社が今後の計画も含めたコンセプトとしてうたっている内容を知ることは住まい選びにとって非常に参考となる情報と言えるからです。そんな都心へ乗り入れ路線の一つに京王電鉄があります。
もともと都心に乗り入れている民鉄は何度かの分割、合併を繰り返したのち1948年の東京急行電鉄(現:東急電鉄)からの分割を最後として、現在の東急電鉄、小田急電鉄、京浜急行電鉄そして京王電鉄となり現在に至っています。分割当初は最も規模の小さい鉄道会社とされていましたが、今では京王線を中心として、井の頭線、相模原線、高尾線という路線を擁し、更に各拠点駅では他鉄道会社への直通運転もあり、都心に乗り入れる重要な路線の一つとなっています。そんななかで、渋谷駅という大ターミナル駅へつながる井の頭線には利用客への利便性という点で大きな課題が残っていました。それが、渋谷駅-明大前駅間での電事故等障害が発生した時に吉祥寺-永福町間折り返し運転とされ明大前駅まで延びていないという点でした。井の頭線が渋谷駅という大ターミナルへとつながる拠点となる明大前駅よりも一つ手前の永福町駅で利用客は足止めされてしまうという事でした。
これを何とか永福町駅~明大前駅まで延長するという設備増強計画が実施され、現在では明大前までの折り返しが可能となり、新宿方面等への振り替えも可能となるなど利便性が飛躍的に向上し、まさに利用客にとって有難い大きな事業が実現されたのです。このような利用客目線での取り組みは1915年当初からという、早い時期から行われており、現在の京王電鉄の利用者優先の体質は培われていったと言われています。都心に乗り入れている鉄道各社の悩みの種となっている踏切問題があります。ラッシュ時には「開かずの踏切」と化す周辺住民にとっても有難くない課題は京王電鉄も例外ではありませんでしたが、これなども取り組みが進められ、その一つとなる笹塚駅から仙川駅間の連続立体交差事業も着実に行われ2022年度完成を目指し進められています。
さらに今では当たり前となった「女性専用車両」も早くから導入され、これら利用客サイドに立った改善計画が地道に行われている鉄道会社として更に期待が高まっています。都心での住まいを検討している人にとって、都心の勤務先へのアクセスが容易でかつ将来的には郊外へと考えている人にとっても、今後の更なる利便性や安全性向上への取り組みに目の離せない路線と言っていいのかもしれません。